ぼーっと深夜のNHKを見ていたら、時計職人の特集のようなものをやっていた。何気なく見ていたんだけど、その中で、スイスの時計職人の一人が「手巻き時計は、持ち主と共に生きているのだ」といっていた。そう、手巻き時計は持ち主が竜頭を巻いてやらないと止まってしまう。持ち主がいて初めて動くことが出来る。放っといても勝手に動くクォーツ時計とは違うのである。
当たり前のことなのだけど、これが妙に心に残った。実際、私は手巻き時計を使っている。というのが、知る人ぞ知る「ドラッチ」なのだが。その初代の手巻き式のタイプのやつである。
私はよく巻くのを忘れて、この時計はしょっちゅう止まっている。時間は専ら携帯電話で確認しているのだが、それでもこの時計には愛着があって、アクセサリのように腕につけている。たまに腕に目をやると、ドラえもんの鈴がコチコチと動いていて、それだけでなんとなく和むというか…。
私も普段は無神経だから、その時計をあちこちにぶつけたりして、結構傷だらけだったりするんだけど、それでもけなげに動いている。せめて、ちゃんと巻いてやらないとな。スイスの時計職人が作ったような大そうなモノではないが、やはり持った人が愛着を持って使えば、そんな時計でも命が吹き込まれるような気がする。
まさに、持ち主と共に生きているのである。