同時押し

私は自動販売機で飲み物を買うとき、いつも何を飲むか迷ってしまう。コーヒーを買おうと心に決めて自販機まで出向くのだけど、当然自販機には数々の飲み物がズラリと並んでいる。さっきまでコーヒーを飲もうと思ってたのに、そこに並んでいるものを見てしまうと、喉乾いたから炭酸飲料もいいな、果汁ジュースも体にいいかも、スポーツ飲料もいいな、などと迷ってしまう。
でも、やはりコーヒーを買いに来たのだからと思い直してコーヒーを買おうと思うも、コーヒーだけでも数種類あったりする。カフェオレ、ブラック、微糖などなど。ブラックだけでも2種類あることもある。正直どっちでも良いやとなったとき、2つボタンを同時押しして、どっちが出てくるかは運に任せる。
実は、大抵の自動販売機はおよそ左からボタンの通電を見ているようで、つまり、複数のボタンをほぼ同時に押したら、左の方のボタンのやつが反応するということを知っていたりする。なので、左のは若干弱めに押下したりもして、ちょっとでも運に左右されるように試みる。そんなことをしても、同時であれば電子的に左が優先されるし、弱すぎて通電しなかったら右が出てくる、なんとことも分かっていたりもする。
それでも、2つ同時押しをやるのである。
理屈ではないのだ。それをやることで心の平安を保つのである。落ち着くのである。このコーヒーを選んだのは神様なのだと、もしそれがマズかったときの責任逃れをするのである。何だそりゃ。
昨日、そのクセのせいで大失敗をしてしまった。
松屋は食券を自販機で買うのだが、そのとき小銭の持ち合わせがなく、1000円札を入れたのだった。例のごとく、どのメニューにするかしばらく考え、とん汁セットの大盛りと並にターゲット。いつものように同時押しをやった後、大いなる後悔に苛まれる…。
2枚食券が出てきた！大盛りと並の券が！
当然ですよね。1000円入れたんだもんね。いくら空腹とはいえ、とん汁セットの大盛りと並を同時に食べられません。小心者の私は「すみません、間違えました」がいえず、心の中では大失敗に苛まれているのだけど、平静を装いながら大盛りの方を1枚出すのであった。
並の方は次の日使えないかなと思ったけど、当日限り有効の但し書き。販売時刻もしっかり刻印されていた。無情。
ちなみに、松屋の豚汁セットの大盛りと並で、丁度1000円ジャストでした。