科学はムダ

ちょっと思ったのだけど。
最近、様々な機械が、特に携帯やPC等の電子機器なんだけど、
急速に小型化してますよね。
それは、その中の半導体を使った回路の高密度集積化、
回路の効率化や素子そのものの小型化が進んでいるから。
回路が小さくできれば、それだけ電子の移動距離が減るので、
より低い抵抗、より短時間で処理を進めることができる。
電子回路というのは、結局ビット演算を行う装置であって
要は、1か0か、電子が通るか通らないかのゲートの集まり。
この装置を、究極的に果たしてどこまで小型化できるか?
と考えたとき、1と0の状態を表現できる物理的最小は何か、
という話になってくるのであって、物理的最小単位となると、
それは、現実的には原子だろう、と。
実は、その原子を叩き壊せば、陽子や中性子、そして電子、
さらに中間子やクォーク、レプトンなど、もっといろいろな
いわゆる素粒子が出てくるんだけど、そこまで持っていくには
莫大なエネルギーが必要になってくるので、非現実的。
だからって、原子1個でゲートの役割を担わせることが
果たして現実的かという話もあるけど、不可能じゃなかろうと
かのファインマン先生もおっしゃっておられました。
で、そこまで小型化して、一体何を計算させたいんだと。
今、人間社会で、電子回路は様々な機械の心臓部として、
というか、頭脳としてその役割を担っている。
エアコンや冷蔵庫、炊飯器、映像機器といった家電は当然、
電力や水道、電車やバスといったインフラを制御してるのも
今はほとんどコンピュータを使ったシステムです。
つまり、人がより良く、より楽に暮らすための計算をさせたい。
そのために、より高速で、より小型な計算機をつくりたい。
その究極が原子。
ところで、良く考えたら、そもそも私たち人間それ自身は
その原子でできているじゃないか。
というより、人間だけでなくて、その他の動物から植物、
有機物、無機物関係なく、みんな原子でできている。
結局、その原子の塊の営みが、自然そのものじゃないか。
何も私たちが苦労して原子でビット演算をするような
電子回路を組まなくとも、最初から原子で動いてるじゃないか。
結局、ニュートンが、リンゴが木から落ちることに勘を得て
万有引力の法則なんて見つけなくても、
リンゴが上から下へ落ちるということそれ自体が真理であって、
それをわざわざ別の言い回しで説明する必要もあるまい。
それが太陽と地球の運動の関係とつながっていることに
気づこうが気づくまいが、地球も太陽もそう動いているのだ。
…と考えると、科学とは壮大なムダ話ということになる。
実際そうだとは思うんだけど、しかしね、
その原子でできた一種の演算装置ともいえる人間自身が
そうして自然についてアレコレと理屈をこねる、ということも
ひとつの真理なんですな。
その考える理由も、
自分たちの生活を豊かにするためという現実的な方向と、
より多くを知りたいという好奇心によるものの2つがある。
そのどちらが先か後かは定かじゃないけど、
次の世代をより豊かにする原動力となるのは後者でしょう。
今はムダに思える知識や技術も、
次の世代では実用化して、そのうち必需になるというのは、
コンピュータゲームで遊んでたかつての子供たちが
今の社会のメインでコンピュータを駆使して活躍している
というあたりからも見ることができるんじゃないか。
(まぁ、それはやや我々世代の偏見かもしれないけど)
そういう好奇心からの探求は、科学の原動力でもあり、
人間にとっても断じてムダじゃないのですよ。
やっぱり事業仕分けは思慮がない人がやっちゃいかん。
…みたいなことを、仕事中にiPhoneの紹介サイトとか
こそこそ見ながら思うのでした。
何か、iPhone が docomoでも使えるようになるらしいすね。
私は au by KDDI だけどネッ!
仕事しろ。

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