バイオコンピュータ

理化学研究所の原正彦・局所時空間機能研究チームリーダーらは、土壌に
いる微生物の粘菌を使った「生物コンピューター」の基本原理を考案した。
現在のパソコンなどが苦手とする新しいアイデアや発想を生み出す計算に
向くという。 実用化には時間はかかるが、人間のような柔軟な思考が可能
なコンピュータを実現 できるとみている。

考案した生物コンピュータでは、情報処理の基本単位であるトランジスタの
代わりに粘菌の習性を利用する。エサを求めて成長する粘菌の周りに光を
当てると、粘菌がいくつかの決まった形になる。光を「入力」、形を「出力」
として計算に利用する仕組み。

現在のコンピュータは一個のトランジスタで「1」「0」の二つの出力を出す
が、粘菌だと一個で十通りの結果が出る。正確な答えを素早く求める計算
には向かないが、答えが導きにくい複雑な問題でいくつかの選択肢を示したり、
意外な発想を生んだりするコンピューターになるという。

理研は新原理に基づくコンピュータの特許を出願した。近く粘菌を使って
計算ができる回路を作り、実際の問題を解く実験を始める。

人間のような新しいアイデアや発想を考えるための新タイプのコンピュータ
開発は、 米マサチューセッツ工科大学(MIT)なども取り組む。

(2007年3月19日 日本経済新聞 科学面より)
4月バカのネタっぽいけど、
記事は3月19日の日経のものみたいなので、それなりに信用するとして。
この方向でマジメに研究が進められているとするなら、
実に興味深い話です。
“機械が人間と同じ心を持つだろうか”という問題は、
かなり昔からいろんな研究者が取り組んできたテーマだけど、
それはあくまで、無機物からできた機械なのであって、
人間とは材料が違うわけです。
人間は炭素を中心とした有機物でできている。
上記は、人間と同じ材料で機械を、
つまりコンピュータをつくってみたらどうだろうか、
という方向だと思うんですが。
その場合、基本的に 0、1 の2値でコトを運んでいる
今の(ノイマン型の)コンピュータとは、
根本的な動作原理が異なってくるわけで、
そもそも、それが果たして“コンピュータ”と呼べるシロモノなのか、
という疑問すら浮かんできます。
(まぁ、私たちの脳ミソも“コンピュータ”ではありますまい。)
で、そのような生物コンピュータをつくったとき、
それなら人間と同じような心を持つようになるのかね?
という話になってくるわけですが。
どうなんでしょう。
これも結局、傍目からそれを判断するのだから、
チューリングテストによるしか見極める方法がないともいえる。
ただ、この生物コンピュータが
今の(論理回路でできた)コンピュータと決定的に異なるのは、
その動作が予測不可能なのではないか、ということ。
トランジスタという論理回路でできているコンピュータは、
その動作を完全に予測することができる。
つまり、この入力に対してこう制御すればこう出力される、
ということが予め理解された上で、
いろいろな目的に応じた回路が組まれているのであって、
その動作は予測可能です。(でないと実用化できないし。)
つまり、人間はコンピュータの動作原理を知っているので、
そのような回路が“心”を持つことはないだろう、
(所詮、根本は 0、1 の信号ですから)
ということも暗黙に知っている(感じている)のですな。
で、そういうことを知っているから、
直感的に「コンピュータは心を持ちそうにない」と思う。
ところで、生物コンピュータはどうかというと、
基本的な動作がそういうデジタルなものではないらしいと。
上の例では、「1つの粘菌が10通りの結果を出す」などと
何やら胡散臭い書き方がされてますが、
要は、2値を基本としていない、ということなんでしょう。
しかも、結果としてどの出力が選択されてくるのか、
ということが、それをつくった人間にも予想できないっぽい。
まぁ、それは納得できる話で、
トランジスタは、人間がつくった回路(素子)だけど、
粘菌は、人間がつくったものじゃありませんからね。
ということは、
仮にその粘菌で人間の心のようなものがつくれたとしても、
それで「心とはこういうものだ!」といえるかというと、
そういうことにはならないようで。
人間(の脳ミソ)自体も、人間がつくったものじゃない。
ただ、心を持つ、思考する、という現象の基本原理、
その単位(トランジスタに相当するものは何か)について、
粘菌の構造を研究することで見出していこうという目論見なら、
それもアリといえばアリなのかもしれない。

コメント

  1. かすてら より:

    ほむ。。。
    何か変なことはおきますかねぇ。。。
    わくわく。

  2. 月影 より:

    これ、半分、人工知性体をつくろうって話ですよね。
    よく考えたら。
    微妙に空恐ろしいかも。

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