ACECOMBAT04 というシューティングゲームを買ってきて、これが面白くて夢中になってしまい、時間を忘れて夜中までやってしまった。それもちょっと難関を迎えたところで、今日はこの辺にしとくかということで、セーブしてPSの電源を落とす。気付けば午前3時を回っていた。
テレビのチャンネルをBSに変えると、メッツの試合を放送していた。明日は日曜だし、もうちょっと夜ふかししてこれでも見てるかな、と思ったが、とても喉が渇いていることに気付いた。そういえばゲームをやってる間何も飲み物を口にしていない。冷蔵庫を覗いてみたが、何も飲み物がなかったので、近くにある自販機まで買いに行くことにする。
財布から120円だけ取り出して、サンダルを履いて外に出る。そのときTシャツ姿だったのだが、かなり寒かった。まぁ近くだし、ちょっと行って帰ってくるだけだから我慢。
自販機で、デカビタC（のニセモノみたいなの）を買って引き返そうとしたとき、背後に視線を感じた。振り返ると、そこに犬がいた！
「犬！？」
飼い犬か、と思って回りを見回すが、飼い主らしい人はいない。よく考えたら時間も時間だし、こんな夜中に散歩でもあるまい。どうやら首輪も付けてないので野良犬のようだった。野良猫ならよく見かけるが、今どき野良犬は珍しかった。
その犬はじっと私の方を見ている。5、6メートルほど先に立ち尽くしており、外灯に照らされて何となくぼうっと青白く光ってるようにも見える。その姿が妖怪か物の怪か何かのようにも思えた。私はデカビタC（のような飲み物）の瓶を右手に、数分その犬と向き合っていた。
あの犬は何を思いながら私を見ているのか。右手のデカビタ（のような飲み物）が欲しいのか。エサでも持っていると思っているのか。それとも、私に襲いかかろうと狙っているのか。実は、本当にあれは妖怪なのか。そんな考えが頭の中をぐるぐる巡ったが、
「‥‥いや、寒っ！」
と、極度の寒さに気付き、その犬を目を合わせつつ、私はアパートに引き上げていった。
部屋に戻ってみるとまたいつもの日常に戻った感覚になり、つい先ほどの異質な出来事が、本当にそんなことがあったのか？と思えてきた。あの犬は夢か幻だったのかもしれない。そんなことを思いながら、メッツの試合をぼーっと眺めている。
デカビタ（のような飲み物）を飲むのも忘れ、私はうとうととまどろんでいた‥‥。
