[日記/近況] クソダサ文化

日記・雑記

今、X(Twitter)で、昨年の紅白にB’zがサプライズ出演したことを発端に、かつてB’zの音楽はクソダサと評価されていたという話が盛り上がっていたので、それについて、80年代、90年代に学生であった私も今思ったことを書いてみたくなった。ただ、震源ポストにリプライ連投というのはあまりに節操がなさ過ぎるので、とりあえず自分の日記に書いて溜飲を下げることにする。

まず、私は特に何かの音楽に精通しているわけでも、音楽評論家というわけでもない。もちろんプロの音楽家でもなく、ただの野良SEで門外漢である。以下は、そんな素人の独り言と思っていただけると。

私はその頃大学生だったのだけど、上のポストでも書いた通り、その当時の同期生が「B’zっていんじゃん。ボン・ジョヴィのパクリの」と話してきたことがあった。そのときは何も知らずB’zを聴いてた私は「ああ、い、いるね……」みたいな反応で誤魔化したのだけど、B’zがそんな風に思われてる(ことがある)というのはこのとき初めて知った。確かに、当時B’zを海外バンドのパクリでダサいと評価している人はいたのだった。

とりあえず、その少し前の1970年代くらいから日本で流行った歌謡曲ってどんなだったかをチャットAIに聞いてみたところ、以下のようにまとめてくれた。

Q:1970年代から1990年代にかけて日本で流行した音楽アーティストとそのジャンルを、デビューした順に列挙してください。

A:1970年代から1990年代にかけて日本で流行した音楽アーティストとそのジャンルを、デビュー順に以下のようにまとめます。このリストは主要なアーティストを中心にしています。

1970年代

  • 井上陽水 (1972年) – フォーク
    「少年時代」などで知られるフォークソングの旗手。
  • 吉田拓郎 (1972年) – フォーク
    「結婚しようよ」など、若者文化の象徴的存在。
  • 松任谷由実(荒井由実としてデビュー) (1972年) – シティポップ
    「ひこうき雲」「卒業写真」でシティポップの草分け的存在。
  • 山下達郎 (1975年) – シティポップ
    「RIDE ON TIME」などでシティポップを確立。
  • キャンディーズ (1973年) – アイドルポップ
    「年下の男の子」などで女性アイドルグループとして人気を博す。
  • ピンク・レディー (1976年) – アイドルポップ
    「UFO」などで社会現象的なブームを起こす。
  • 中島みゆき (1975年) – フォーク/ニューミュージック
    「時代」「わかれうた」など、深い歌詞が特徴。

1980年代

  • 松田聖子 (1980年) – アイドルポップ
    「青い珊瑚礁」など、80年代アイドルの象徴。
  • 中森明菜 (1982年) – アイドルポップ
    「セカンド・ラブ」「DESIRE」などで個性的なアイドル像を築く。
  • サザンオールスターズ (1978年デビューだが80年代に台頭) – ロック/ポップス
    「勝手にシンドバッド」「TSUNAMI」など幅広いヒット曲。
  • 竹内まりや (1978年デビューだが80年代に活動活発化) – シティポップ
    「プラスティック・ラブ」などで再評価も高い。
  • 安全地帯 (1982年) – ロック/バラード
    「ワインレッドの心」などで人気を得る。
  • BOØWY (1982年) – ロック/ニューロマンティック
    氷室京介と布袋寅泰によるロックバンド。
  • 小室哲哉(TM NETWORKとして1984年) – シンセポップ
    「Get Wild」など、80年代後半のサウンドを象徴。

1990年代

  • B’z (1988年デビューだが90年代に躍進) – ロック
    「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」など。
  • Mr.Children (1992年) – ポップロック
    「innocent world」「Tomorrow never knows」などで社会現象。
  • 宇多田ヒカル (1998年) – R&B/ポップス
    「First Love」が日本音楽史に残る大ヒット。
  • 安室奈美恵 (1992年) – ダンスポップ/R&B
    「CAN YOU CELEBRATE?」など、小室ファミリーの代表。
  • GLAY (1994年) – ロック
    「HOWEVER」など、ビジュアル系ロックバンドとしてトップに。
  • L’Arc~en~Ciel (1991年) – ロック/オルタナティブロック
    「花葬」「HONEY」など、ヴィジュアル系の頂点。
  • 浜崎あゆみ (1998年) – ポップス/ダンス
    「SEASONS」など、90年代後半のファッションリーダー。

B’zは、日本において確かに時代を象徴するロックバンド(といってもコアメンバーは2人)であり、実際、シングルを出すたびに連続でヒットチャートの1位を取る程度には大ブレイクしていた。ほぼ同時期、上でAIがあげてくれた以外にも、プリンセスプリンセス、シャ乱Q、スピッツ、JUDY AND MARY、WANDS、ZARDなど、この時代はあげればきりがない数の音楽ユニットが次々とメジャーデビューしてはブレイクしていた。これらのジャンルが“J-POP”などと呼ばれ始めたのも大体同じ時期だったのではないかと思う。私自身もそれらのCDが発売されれば迷わず買ってしまうくらいのミーハーっぷりだった。

そしておそらく、当時のそうした流行を一歩引いたところから冷淡に見ていた人たちもいたのだろう。彼らからすれば、そうしたJ-POPは本物の音楽ではない。「ダサい」或いは「クソダサ」というわけだ。

そう批判される理由のひとつは、やはりJ-POPというのが海外の音楽、いわゆる洋楽の模倣であると評価された点だろう。実際、B’zの松本孝弘は、アメリカのバンドであるヴァン・ヘイレンの影響を受けていることを認めている。そうした点で、日本のロックは海外のロックに劣っている、どこまでもコピーになっておりオリジナリティがないといった評価になりがちだったのだろう。

J-POPが批判される理由としてもうひとつ考えられるのは、90年代の音楽はあまりに売れ過ぎた、ということ。これは、ある種の妬みの感情からの批判もあったかもしれない。令和の今では信じられないと思うが、当時名の売れたメジャーなアーティストがシングルを出せばほぼハズれはなく、ミリオンヒットも珍しくはなかった。そうしているうちに、J-POPで売れる曲はおよそ似たり寄ったりになり、似たような構成、似たような曲調、似たような歌詞が乱発されていたといえなくもなかった。これは、本来の音楽づくりではなく、大衆に売れる商品が大量生産されていた、という批判にもつながる。

そのアンチテーゼというか、そうしたJ-POPの流れに迎合しない方向で、X JAPAN、LUNA SEAなど、いわゆるビジュアル系とされたバンドも、大体同じ頃に活動を始めていた。彼らは、J-POPのいわばメインストリームからは距離を置く形で音楽をつくっていた印象で、それゆえか他のJ-POPバンドのような批判はされてなってなかったし、むしろ今に至るまで根強いファン層の構築に成功している。そして彼らは今いわれている「クソダサ」の対象でもないように思う。

少し脱線したが、J-POP(の主流)が批判された理由は、おそらく、当時のJ-POPは洋楽のモノマネであった点、そして大衆迎合した商品としてつくられていた点、およそこの2点に集約されるのではないか。

わかる。確かにそうだったかもしれない。でもね、そうであったとしても、そうした当時のJ-POPが多くの人の心に刺さったことは事実だろうと思う。コピー品であろうが、商品であろうが、それを聴いて気持ち良くなれた人は確かにいた。たぶんそういう人たちって、洋楽を知っているわけでも、まして詳しいわけでもなく、どういうマーケティングで売られているかなんてことも知らず、ただエンタメとしてそれを楽しんでた人たちなわけよね。で、そうしたいわば音楽シロウトが音楽好きになっちゃいけないってこともないでしょう。

要は、音楽をよく知らなくたって音楽好きになって良いし、その好きになる対象は別にホンモノである必要もないし、その音楽というのは(メロディーや構成の丸パクリでない限りにおいて)先行作品の模倣でもいいじゃないの、と、そういうことをいいたかったのです。

いや、そこを認めてもらわないと、音楽シロウトの私なんて音楽聴けなくなっちゃうからね。いまどきは、いわゆるメジャーな音楽だけでなく、インディーズ音楽も聴くし、ニコ動から始まったような“歌ってみた”の歌も聴くし、何ならボーカロイドの曲もふつうに音楽として聴いてるからね。まあそれを「クソダサ」と呼ぶなら呼べば良いのだけど、それをいいはじめたら、例えば、芝居とか、お笑いとか、服装とか、食事とか、車とか、音楽以外の何かについても、ホンモノではないものを嗜んでる人は「クソダサ」って呼ばないといけなくなるんじゃないのかな。むしろ、世の中には好きになる対象のことを詳しく知らないという人の方が多いと思うし、そういう人たちを「クソダサ」という人の考え方の方が「クソダサ」なんじゃないのって思ったりもする。

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