私は特に東電の関係者でもないし、
知り合いがそこにいるとかいうこともありませんが、
世間の東電叩きが酷いので、ちょっとフォロー。
まず、原子力が大きな危険を伴うエネルギーである
ということは、誰もが認めるところでしょう。
そんな危険なものを、なぜあえて使うのか。
簡単です。エネルギー効率がとても良いから。
現在、発電の主力である火力発電の場合
100万kW発電するのに石油143万トン必要だけど、
原子力発電の場合、同じ100万kW発電するのに
ウラン21トンほどで済むといいます。
加えて、火力発電は二酸化炭素などの温暖化ガスや
その他石油の燃焼に伴う公害ガスを大量に出すけど、
原子力では、熱循環を内部に閉じ込めている限り、
火力のような大気汚染はほとんどありません。
つまり、原発というのは、不測の事態さえなければ、
効率も良く公害も少ない理想的な発電所なんですね。
実際、日本国内の電力の約3割は原子力によるものです。
ただ、当然、原子力というのが
原子の核分裂時に発生する熱を利用するという特性上
同時に発生する放射線による危険性というのがある。
その放射線や放射性物質は閉じ込める必要があるけど、
原子炉や循環システムが損傷してしまった場合、
それらの危険物質が外部に漏れ出すことになります。
特に地震の多い日本の場合、原発をつくるリスクは
相応に高いといえる。
なので、原発というのは相当頑丈につくられます。
今回の福島第1原発の件では結構忘れられがちだけど、
あれは、原発の内部不具合で発生した事故ではなく、
いうまでもないけど、あの巨大地震の被災によるものです。
第1原発のある福島県沿岸は立入禁止になっていて
あまりマスコミの取材が入らないためか認識が薄いけど、
あの周辺も宮城や岩手沿岸と同等の被害を受けてます。
家屋は津波でほとんど流され、講堂や体育館のような
比較的大きな施設も半壊からほぼ全壊という状態。
今でもまだ津波の海水が退かず冠水してる地域もある。
そんな中、第1原発の建屋はほぼそのまま残っていたし、
施設そのものはほとんど被害を受けてなかったそうで、
実際、原子炉の運転自体はちゃんと停止できている。
その頑丈さって、実は何気に驚異的じゃないか。
(今は、その後の水素爆発で無残な姿になってるけど…)
今回のは、巨大な津波で電源系統がやられてしまって、
炉や燃料の冷却ができなくなったことが問題。
東電や保安院の会見でしきりに「想定外の」津波というけど、
あれは、もうその言葉通りなんだろうと思う。
おそらく、当初の想定以上の地震がきてしまったら、
そのときはもう腹をくくるしかないよね、ってことでしょう。
(当事者は間違ってもそこまではいえないでしょうけど)
そして今回、本当にそういう地震が起こってしまった。
そもそも論でいうなら、原発なんかつくらなければ
どんな大地震がきても、こんなことにはならない。
…当たり前ですが。
原子力を諦めて火力発電を増やす場合、
石油利権のある関係者たちは喜びそうですが、
おそらく、電気代は相当上がると思われる。
原発で今回みたいな事故が発生するということ自体は、
実はみんな容易に予測できていたと思います。
ただ、それに引換えてでも選択価値のあるものだった
というのが原子力なんだろうと思うんですよね。
車に乗れば交通事故に遭うリスクが発生するけど、
歩くより格段に早く移動することができる。
だから、人はリスクがあると知りつつ車に乗る。
それは他の交通手段も同様にいえることだし、
交通手段に限らず全てのインフラにいえることです。
ただ、そのリスクを国や企業が国民(特に地元民)に
強要している形になってるので、国やその企業も
ある程度の責任を負うべきだとは思いますけどね。
その原子力で供給されていた電気を
今までみんな当たり前に供給されるものだと思って
使っていたわけでしょう。
ということもあり、最近の東電一企業だけを叩く風潮が
どうも理不尽に思えてしまいます。
電力需給に限らず、人間がやることなすことって
自分ひとりじゃ結構何もできないということを
もう少し認識してもいいんじゃないかと思いますね。
コメント
私も、あの災害であそこまできれいに原発の建物がのこり、
おまけに、原子炉自体は安全に停止していたのは
とてもすごいことだと思いました。
しかも、その技術は40年前のもの。
(もちろん、アップグレードはしているでしょうが)
あと、まだ持ちこたえているという点も
かなりすごいと思います。
ただ、私はどちらかというと
原発推進派なので
贔屓目はあるかもしれません。
多分、誰かが悪いことにしないと気がすまない心理があるんだと思います。地震が起こったのは、誰が悪いわけでもないんですけどね。
私も原子力発電は、危険だけどやむを得ない発電方法だと思うのですが、反対派はこれみよがしに、煽ってますな^^;
そもそも電気代が高くなるってことは、産業自体が冷え込むことになりかねないですからねぇ。
安くて、安定的な電力ってのは、産業力、技術力の向上に必須の条件ですからねぇ。
ただ、未だに社長が全く表に出てこない体質は、たいしたもんだと思いますが。
http://www.asahi.com/business/update/0327/TKY201103270243.html
13日以降全く、公式の場に出てきてないんですね。
社長は病気らしいですよ。真偽のほどはわかりませんが。
ちなみに、今回の一件ではむしろ原発を後押しする材料があって、震度6~7(450~500ガル程度)なら大きな被害は出ない、ということが証明されたんですよね。福島、女川共に、地震そのものによる施設の損壊などはほとんどなかった(少なくとも本震は耐えた)。
問題は津波で、これをどの程度の高さまで想定するかが今後の課題として見えた、ということになるのかなと。
私もあの後知りました。病気だったんですね。
入院しても、入院なんて言ったら叩かれるだろうし、いなければいないで、社長を出せ!と叩かれるし。
ただ、どうで叩かれるなら、正直に、入院が判明したときに、発表すべきだったと思いますね。黙ってると、やっぱり隠蔽体質が治ってないと言われますからね・・・。
ところで、原発の問題。
地震には強かったけど、津波には弱かったってところですね。
壁を高くするというのは、簡単な発想ですが、それだけじゃなくて、それでも乗り越えてきた場合を想定して、移動式の高圧ポンプなど、移動可能で、トラブルを切り抜けられるような物を作れば、最悪の最悪にも対応できるかも・・・。
原発ですが…
海をはずして、湖のほとりにつくるってのはどうですか?
あ、そうすれば、また、飲み水がどうとかいわれるのかな?
今回、企業を主に停電させよ、とか
消費電力を減らせとかいう意見を言う人も多いようで、
日本の産業がへこんでしまうのがとても心配です。
中国や韓国の企業が
今まで日本が占めてきたシェアを狙っていますよね~
技術的には、もう、あまり変わらないところまで
きているわけだし…
もうちょっと産業を保護して
早く通常レベルにならないと
日本の経済、ますます危ないのではないでしょうか~
福島の場合は、電源がメインも予備も津波でやられたということなので、外部電源を予め海から遠いところとか高いところとかに設置するなどで回避はできたかもしれません。女川は発電所自体が高いところに建ってたので難を逃れたようです。
いろいろ制約のある化石燃料に比べて、ウランは結構豊富にあるし再利用技術もあるので、原発の安全性がもっと高くなれば、節電なんて気にする必要なくなるんですよね。
そう、マイクロ波送電という無線送電の技術があって、これで将来宇宙空間にソーラーパネルをいっぱいうかべて地球上に電力を供給しようという構想があるんですが、そこに原発も浮かべておく、というのはどうですか。万一事故があった場合、地球圏外に放出すれば良し。[E:bleah]
何か今、地震やら津波やら、で、停電やら放射線やらでみんなナイーヴになってますね。外資系の店や企業も首都圏や日本から逃げてる感があって、日本経済は実際ピンチかも。てか、私自身もヤバイ。今までみたいに仕事とれなさげ…。[E:bearing]