科学の現場

昨夜、寝る間際に、何気なくテレビをつけて、
ぼーっとそれを観ていたら、BSドキュメンタリーの再放送と思われる
「史上空前の論文捏造」というやつをやってました。
どんな内容かというと、
アメリカのAT&Tベル研究所の学者が、ある論文を発表したのですね。
それが事実なら、かなり画期的な内容だったと。
ネイチャーなどの学術誌も、まさか捏造なんて思わないから、
そのまんまそれを掲載しちゃったわけですね。
ところが、後でいろんな学者がそれに疑問を抱いた。
その論文に添えられているグラフが、
なんと他の論文で使われていたものと一致するというのです。
本人に聞けば、そのグラフは、
ファイルから論文に丁度いいものを選んでそのままつけたと。
さらに調べると、
その論文の中で実測値として記述されていた値も、
実は計算で導かれた値をそのまま書いていたという…。
当然、この科学者はベル研を解雇され、
その後は行方知れずになったというお話です。
その中でいろんな科学者にインタビューをとっていたわけですが、
科学の形態というのは、従来のように、
人間の好奇心だけで行われるものではなくなってきている…
というか、純粋な自然科学、
その研究に専念できる環境ではなくなってきているというのが、
とても印象的でしたね。
結局はお金になる研究しか支持されない。
つまり、実用ありきなんです。
どこの研究所も、今の時代、
遊びで研究をやらせてもらえるほど甘い世界ではなくなっている。
遊びというのは語弊がありますが、
つまり、知的欲求だけで研究は罷り通らんということでしょう。
だから、何とかお金のつく研究をやっていく。
科学者も、それを生業にしているわけで、
生きていくために、それを職業としてこなさなければならないと。
中には、この番組の主題にあげられた科学者のように、
捏造してまで名を売って、お金をつけようとする。
そのような世界に変貌しつつあるという事態です。
私は結構アカデミックな世界にあこがれていたわけですけど、
こういう話を聞くと、
どこの世界でも結局そこに落ち着くのかなぁと、
ちょっと寂しさを覚えましたね。
そんなに金金ばかりじゃないとは思うけど、
やっぱり科学者は、人間の知的先端を行く人たちなわけですから、
知的追求と純粋な科学に専念して欲しいなぁと思うわけですよ。
ただでさえ戦争と裏切りと騙し合いの横行する世の中です。今は。
この上、自然科学の世界まで堕ちていっちゃうと、
人は本当に救われなくなる気がする…。
世の中、金と地位だけが評価されるわけじゃないんですよ。
それを証明してくれるのも、科学であると信じたい…。

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