やばい。これ。虫歯かもしれん。
COP15目前、各国の温室効果ガス排出削減中期目標
(afpbb.com)
CO2排出量削減について
各主要国、経済圏が軒並み目標を打ち出しているようです。
で、日本ではあんまり注目されてないかもしれないけど、
中国もCOP15(気候変動枠組み条約第15回締約国会議)に
数値目標を提示して参加を表明しました。
アメリカも2005年比で17%削減という数値目標を示したので、
これで世界最大のCO2排出国と2番目の排出国が
相次いで温暖化対策に乗ってきた、という格好になったと。
いやぁ、良いことだね。
って単純に喜ぶところじゃないってのが、今回の話です。
今回、中国が示してきたのは、1990年比とか2005年比などの
確定している排出量に比較した削減目標というのではなく、
GDP単位あたりで2005年比40~45%という数字。
すごく、わかりにくいです。
GDPというのは、その国がある一定期間に稼ぎ出す価値のこと。
中国の目標というのは、仮に、1ドル稼ぎ出すのに
2005年は1トンのCO2を排出していたとするなら、
2020年にはその45%の0.45トン減らした0.55トンにしますよ!
といってるってことなんですね。(数字は簡単の為に適当)
ほほう、そりゃすごい。と思うのは早計で、
中国というのは、近年急速に経済成長を続けているので、
GDPもかなり速いペースで伸びていて、2020年にもなれば
2005年比にすれば3倍程度にはなるとも予想されてる。
もし、2020年のGDPが2005年の3倍になってるとしたら、
2005年に1ドルあたり1トン排出しているとする場合、
それを維持するだけで、2020年には1ドルあたりその3分の1
つまり約0.33トンになるので、0.55トンは余裕でクリアです。
実際は、今の排出量を維持して3倍もの経済成長をする
なんてことは、まぁほぼ無理ではあるんですが、
それでも、機械やあらゆる生産のテクノロジーは
今後どんどん高効率なものにリプレースされていくだろうし、
これからの中国なら十分達成可能な数値でしょう。
というか、0.55トンをクリアしても、
GDPが3倍になれば1.65トンになって、CO2の排出量自体は
今より増えても良いという計算になるのね。
# 計算あってるかな。まぁ、いいたいことはわかるよね。
米国の打ち出した17%削減という数値も、2005年比です。
つい3、4年前の排出量が基準なので、1990年比でいうと
およそ3%程度の削減量になると換算される。
そういえば、ロシアが日本(鳩)と同じ削減目標を、
つまり1990年比25%削減とかいってたっぽいじゃないか?
そうなんだけど、ロシアはもともと生産量が低くて、
連邦全体で25%削減するというのは全然余裕なんですよね。
そりゃ生産活動が小さければ、出るCO2も少量です。
EUも1990年比で20%削減といってるけど、
あれはズルくて連合国全体での目標になってる。
しかも、後からEUに加盟した国(既加盟国より排出量小)の分も
しっかり計算対象になってる。
最近は30%に引き上げてもいいんじゃないの?
という声もあるようで、EUはそれだけ余裕があるってことよね。
つまり、中国も、米国も、ロシアも、EUも、
みんなちゃんと現実的な(十分達成可能な)数字を出してる。
そこへきて、日本(鳩)の乱心ですよ。
鳩山さんは、「他の主要国の意欲的な合意」があることが
それを実行する際の条件だといってるけど、
今回の中国と米国が、たとえ低い目標だったとしても
COP15参加したことで、国際社会は「その条件は達したでしょ」
っていうでしょう。
ここで、いやお前らの目標は低いからオレっちもやらねー
なんていったりするのは駄々っ子です。
実質、これで日本は退路を断たれたことになる。
もう、どうあっても25%削減するしかない。
でないと、国際社会に対して大ウソぶち上げたことになる。
まぁ、今まで関係ない顔してた米国や中国が
環境対策にも目を向けだしたというあたりは一定の進歩だし、
環境の為に目標を立てることも全く悪い話ではないんだけど。
それにしても、達成可能な目標を立てることと、
不可能だけど大見栄を張るのとでは、だいぶ意味が違う。
ちなみに、GDPの話でいうと、
同じGDPを生み出すのに排出しているCO2の量というのを、
試しに、2007年のデータで計算してみる。
IEAの資料[PDF] によると、2007年の世界のCO2排出総量は288億トン。
その内訳が下記。
- 米国 57億トン、GDP 14.1兆ドル → 1兆ドルあたり、4.04億トン
- EU 39億トン、GDP 15.1兆ドル → 1兆ドルあたり、2.58億トン
- 日本 12億トン、GDP 4.4兆ドル → 1兆ドルあたり、2.72億トン
- ロシア 16億トン、GDP 2.1兆ドル → 1兆ドルあたり、7.62億トン
- 中国 61億トン、GDP 7.6兆ドル → 1兆ドルあたり、8.03億トン
- インド13億トン、GDP 3.1兆ドル → 1兆ドルあたり、4.19億トン
GDPがIMFの資料と違ったりしていて不正確かもしれないけど、
IEA資料に書かれているGDPをそのまま使うとこんな感じです。
大体、日本とEUは同じような割合で排出していて、
米国とインドは日本の1.5倍、ロシアは2.8倍、中国は2.9倍。
数字だけでみると、同じGDPを稼ぐのに
中国は日本の3倍近いCO2を排出してるという計算ですな。
EUは単位GDPあたりのCO2の排出に関していえば日本と同程度。
実は、もうちょっと以前は日本の方が少なかったようで、
つまり、日本を追い上げ、追い越したということですかね。
で、ここから、1990年比で25%削減ですよ。
現状も、日本の生産量:排出量の比率は、まぁ決して良くはないけど
世界の他の経済圏と比較すれば、良い方といえます。
とりあえず、ズルっこEUと張れる数字であることは確かです。
かつ、エコ技術に関しては、日本は世界でもトップレベルです。
民間企業も、何とかCO2の量を抑えようと努力してます。
決して何もしてないというわけじゃない。
この上となると、政策としては
全ての家庭に太陽光発電を設置(しかも強制)。
HV、EV、或いは相当のエコ車以外は使用禁止。
建築基準も、一定基準を満たす断熱加工が必須。
テレビ、エアコン、冷蔵庫は全てエコ対策必須。
とか。
こういう政策で望みが持てるとしたら、
今よりさらにエネルギー効率の良い素材や家電など
いわゆるエコ製品というのが要求されてくるだろうから、
その需要がグリーンニューディール政策のような効果を
生むんじゃないか、という期待。
しかし、その基礎研究や開発をしようにも
科学技術分野の育成や研究開発にあてる予算も出したくないようで
そういうこともして欲しくない、というように見える。
何というか、ちぐはぐなんですよ。
本来、エコ活動というのは推進すべきものなんだけど、
目標を打ち立てて、ようし、それに向かって頑張るぞ!
となってないのは何故なのか。
国際社会からは鳩山氏は誉められまくってるようだけど、
一方国民はというと、彼に続け、一丸となっていくぜ、
とはなってなくて、どちらかというと「ええーっマジで?」
というような雰囲気になってる。
その理由は何なのか。
そこを政治家が、そして首相自身が理解してないようでは
今の政権の先行きも知れてます。
コメント
うちはこないだ太陽光発電にしましたよ。
11月から1kwh=48円買取になりましたので、11月の電気代は支払いではなくて+500円って感じでした。
元をとれるかは実際不明ですが、ずーっと計算していくと8年あれば元を取って、後は+って感じですね。
メンテ代なんかを全部込みで入れても、9年で元取れそう。
プリウスも、気合のエコ運転心掛けたらリッター30kmくらい行くんじゃないかなぁ街乗りで・・・。
私の街乗りではリッター28km
とんでもない燃費ですな。
まぁエコってのは結局得しないとやらないですネェ。
エコ=得っていう意識がつけばいいのかなぁと
太陽光発電つけたんですね。いいですね。
あのパネルって、費用はともかく戸建てなら取り付けやすいかなとも思うけど、集合住宅の場合はどうしようもないんですよね。賃貸なら大家さんがつけるか、分譲なら管理組合で決めるかする必要があると思うけど、どちらも自分の意思だけじゃどうにもならないので。
あと、日照が少ない地域はちょっと悲しい。山陰地方とか北陸地方などは太平洋側の地域に比べると大分不利な気がします。
損得でいえば、得をするからやるというのも勿論あるし、損をすることもやりたくない、なんですよね。で、今の世の中、みんな損をする可能性のあることにはなるべく手を出したがらない。
エコカー減税やエコポイントがうけたのは、それで得をすることはあっても損をする可能性はほぼないから。大抵それを買うお金さえあれば食指が出ます。で、今の政権から出てくる政策に、そういうものがないんですよね(エコ関連の政策は、いずれも前政権のもの)。
むしろエコと真逆の政策もある中、どっちに進もうとしているのか市民にはさっぱりわからないし、先導すべき政府自身も、どっちに進むか棒倒ししてるんじゃないかと思えてしまうんです。