さて、遂に通っちゃいました。
違法ダウンロード刑事罰化・著作権法改正案が可決・成立
(ITmedia.co.jp)
ここで違法だといわれているのは、
権利保有者が認めていない映像や音声をダウンロードすること。
要は、ネット上に公開されている音楽や動画をダウンロードすると
それは須らく違法になる可能性があるというお話です。
この条項自体は2010年1月に既に施行されていて、
ダウンロードの違法性(その可能性)そのものは今もあるのだけど
違法だったとしても罰則が規定されてなかったわけです。
それが今回、このルール破ったらお仕置きよ!ってことになったと。
どんな罰則かというと、その改正案を見てみると
第一 罰則の整備
著作権法第三十条第一項に定める私的使用の目的をもって、有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となっているものに限る。)であって、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。以下同じ。)の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であって、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害した者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すること。
(第百十九条第二項関係)
つまり、著作権法の第30条第1項に違反したら
20年以下の懲役か200万円以下の罰金を支払うことになるってこと。
では、その著作権法第30条第1項とやらはどんな規定かというと
著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
一 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合
二 技術的保護手段の回避(技術的保護手段に用いられている信号の除去又は改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合
三 著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合
著作権法 [law.e-gov.go.jp] より
これは現行の条文ですが、これも変わるんですかね。
とりあえず今はこの一、ニ、三が禁止事項ってことですね。
この一号にある「自動複製機器」というのは何じゃい?
というと、おそらくここで想定されてるのは、
まずはオフィスやコンビニにあるコピー機や複合機などのこと。
加えて、デジタルコンテンツのコピーも想定するとしたら
ビデオやDVD、HDDレコーダーなども含まれるでしょう。
さらに、ソフトウェア的に映像や音声を複製できるPCを含む
コンピュータ全般もこれに該当すると思われる。
ただ、その前に
「公衆の使用に供することを目的として設置されている」
とあるので、個人PCでの複製に関しては該当しないはず。
問題はサーバ側で、サーバにアップロードされてるものを
個々のPCにダウンロードする行為は複製ということになる。
そしてサーバは「公衆の使用に供することを目的」として
設置されている機器でありましょう。
ここ非常にグレーだけど、ここでダウンロードの違法性が
言及されているといえなくもない。
次の二号は、何らかのコピーガードがかかっている
CDなりDVDなりのプロテクトをキャンセルして
そこから音声や映像データをPC等に取り出すことの禁止。
いわゆるリッピングは禁止ってことですね。
上のニュース記事では
新たに市販DVDやゲームソフトのリッピングが違法になった
みたいに見えるけど、既にこの時点で違法な気も…(?)
例えば、好きなアーティストのCDを買って、
それをiPodなりWALKMANなどのプレイヤーに入れようとしたとき、
その手順によっては違法になる可能性がある。
フリーやシェアウェア、或いは市販のコピーツールの中には
特にユーザが意識することなくプロテクトを越えて
wavやmp3形式で音楽を取り出すことができるものもある。
まぁこれは、iPodならiTunes、WALKMANならx-アプリとか
公式のツールを使ってコピーしてくださいってことですね。
といって、もし公式ツールまで法を犯してたら悲しすぎますが。
逆にいえば、公式ツールでプレイヤーにコピーできないCDは
もう諦めるしかないようです。
例えば昔、CCCD(コピーコントロールCD)という技術で
プロテクトがかかったCDが出ていたことがありましたが、
あれは基本的にPCで再生することができない問題がありました。
苦肉の策として、その音楽CDをドライブに入れたら
当該CDを再生できるようにするソフトを自動インスコする!
などという、セキュリティに厳しい今の時代なら総スカン確実な
珍仕様が採用されていたCDもいくつか。
で、そうしたCDはおそらくiTunesもx-アプリもサポート外で
おとなしくCDのままコンポなり車なりで聴いといてくださいネ
というオチがつくだけのお話です。
古いCDをポータブルで聴きたかったら、
公式でダウンロード販売されてるかもしれないので探せと。
幸運にも見つかったら、それを買えと。CD持ってても。
これは音楽CDだけでなく、DVDやBDなどの映像作品も
手元に購入したメディアがあったとしても、
それをポータブルに移して出先で視聴したりするのは諦めろ
ってケースは少なからずありましょう。
今後はCDとかDVDなんかの円盤は買わないで、
公式からソフトをダウンロードしろってことになるのかね。
ゲームはともかく。
ちなみに、今回リッピングに関しては罰則はなしらしい。
そして三号ですね、共有サーバにアップロードされてる
違法な映像や音声のダウンロードを禁止するもの。
まず「著作権を侵害する自動公衆送信」って何だよと。
「自動公衆送信」というのは、映像や音声を配信するといったら
YouTubeやニコ動といった動画共有サイトがまず挙げられるけど、
どこであれ公開サーバに映像や音声のファイルが置いてあれば
それを踏んでしまう場合も当然該当するでしょう。
あと、サーバでなくWinnyなどのファイル交換ソフトや
BitTrrentを使ったりしてP2Pでファイル共有されてるものも
「自動公衆送信」にあたると思われる。
要するに、ネット上の誰でも見えるところに置いてある
ってことなんでしょう。
で、その自動公衆送信とやら全部が否定されてるわけじゃなく
その前に「著作権を侵害する」とある。
その先に「~を受信して行うデジタル方式の録音又は録画」
とあるので、翻訳すると
著作権を侵害する音声や映像をダウンロードして保存するな!
…ということかな。
録音、録画というのは、音声や映像を保存することですよね。
問題は、もうこれはあちこちでいわれてるけど
著作権を侵害する音声や映像ってのは何ですか?ってところ。
結局そこは、その権利者がどう出るかにかかってる話で
無断でアップロードされているものだったとしても、
権利者が許せば合法で、ダメじゃんといえば違法になる。
例えば、地上波のある番組が録画され(ここまではOK)
それがYouTubeにアップロードされたもの(おそらくここはNG)が
ランキングのトップにあったり“おすすめ”にあったりしたら
多くの人はそれを踏んでしまうでしょう。
この場合、踏んだ人は全員容疑者となるわけですよね。
これはセルDVDとか音楽とかでも同じことがいえて
公開されていて、それに興味があれば、当然見ると思うんです。
まして注目度が高いとあれば、興味がなくても見てしまうもの。
まぁ、そういうのを取締まるのが趣旨ではないとは思いますが
可能性の話として、いつでも誰でも犯罪者に仕立てられるという
そういう危険性も少なからず含んでいるということ。
例えば、私はニコ動でゲームのプレイ動画をよく見るのだけど
あれもゲーム画面を無断でアップロードしてることになるので、
実は違法性がある(その可能性がある)ものなんですよね。
なので、私も著作権法違反の容疑がかけられる可能性がある。
実際に裁判になって刑が確定すれば犯罪者ですよ。
しかし、これ本当に音楽業界の売上に貢献する話なのかな。
違法ダウンロードに刑罰が設けられたからといって、
音楽CDなりDVDの売上が伸びるとは思えないんだけど。
むしろ、違法リッピングの方が仇になって
純粋なCDの売上に限っていえばさらに落ちるんじゃないのか。
ダウンロード販売に望みをつなげるってことですか。
どうも私には、インターネット上のメディアを規制して
人々のネット活動を萎縮させる動きのように思えてしまう。
こんなことをして、誰が得をする?
と考えたら、
今ネットにしてやられてる業界はいくつか想像できるけど……
あ、そうか。何となく、あそこな気がしてきた。
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