水とかお湯とか

地球は、異星人に侵略されるまでもなく、
既に地球人によって侵略されているのだ。
なんか、お湯の方が早く凍るとか違うとか、
そんな議論があるとかないとか。
「水よりお湯の方が早く凍る!」 「ためしてガッテン」実験は本当か
J-CAST
いや、その議論の内容自体は
はっきりいってどうでもいいんですが。
多分この話には論点が2つあって、
1つは、純粋に科学的な内容としての妥当性。
もう1つは、公共に放送する内容としての妥当性。
まず、科学的にどうか、という点で。
「水よりお湯の方が早く凍る」ということなんだけど、
この表現ってえらい曖昧さがある気がする。
“水”とは?“湯”とは?“凍る”とは?
それぞれどう定義されているのか。
水というのは、化学的にいえば液体のH2Oなんだけど、
お湯もモノとしては同じです。
水が液体の状態でいられるのは、
1気圧の下でセ氏0度から100度までの間なので、
その間で“水”と“湯”の温度の線引きがされるんだろうけど、
その認識は双方で一致しているのかどうか。
仮に、NHK側が湯というのを40度くらいとして、
一方、大槻氏側が70度程度としていたのでは、
当然その実験結果は異なってくるはずです。
同様に、他の条件(冷やす水の体積や気圧など)も
大体一致させた状態で実験しないと
2者の主張が食い違うのは当たり前。
あと、“凍る”というのは、
凝固が始まる時点をもって凍るというのか、
全体が完全に固化した時点をもって凍るというのか、
それによっても文脈が違ってくる気がする。
実験する場合は、必ずその前提条件を正確に定義する。
これ、実験レポートの書き方の初歩です。
(今回はレポートじゃないけど、その礎は必要でしょ)
この現象は「ムペンバ効果」という名前らしいんだけど、
その報告書なり論文なりがあるとするなら、
その中に水や湯などの定義は書かれてるのかどうか。
Wikipediaでは「特定の条件下で」とされてるんだけど、
その条件ってのがどうなのかが重要なんでしょ。
で、このメカニズムは現時点で解明されていない、
つまり、その条件というのはよくわかんね
ということらしいので、それを同じ卓上で議論するなら、
少なくともお互いの条件を揃える必要はあるでしょうと。
次に、放送する内容としてどうか、という点。
私はその番組の内容をみてないんですが
(「ガッテン」自体は何度か見たことはあるけど)
もしそれが確定的な事実であるかのような表現だったとしたら、
放送としてはマズい、ということになるんだろうと。
少なくとも事実としては、
“条件によって”高温の水の方が低温の水よりも早く凍ることがある、
ということまでしかわかっておらず、
その条件そのものについてはよくわかっていないんだから、
それが常にそうなるみたいな口調でいうのは、多分アウト。
つまり、「お湯の方が水よりも早く凍る」という表現はダメ。
では、「お湯の方が水よりも早く凍ることが多い」
という表現ならどうか。
これは、そうならないこともあるという曖昧さを残しつつも、
そうなることが「多い」とはいえないはずなので、おそらくダメ。
「お湯の方が水よりも早く凍ることがある」ならどうか。
これなら、そういう報告が実際にあったことは事実で、
一部実験的に確認されていることでもあるので、きっとセーフ。
要は、視聴者にどう受け取られる可能性が高いか、
ということが重視されてくるんでしょう。
ただまぁ、「ことがある」じゃ
「だからどうなのよ」って話になるんだけどね。
(情報としてあまり意味がない)
わざわざお湯の方が云々といっている以上は
視聴者にそういう認識を与える意図は確実にあったはずなので、
製作側の確信犯といえば確信犯。
仮にそうならないことがあったとしても、
一部実験で確認もされているということで、
放送内容として“問題ない範囲”という認識なんでしょう。
ま、実際どうでもいいですけど。
少なくとも私は、この話を聞いたからといって
わざわざ加熱してから凍らせようなんて思わないしね。
ただ、公共の放送でいい加減なことを流されるのも困った話なので、
ある程度の監視の目もあった方がいいのかなとも思います。
こういう情報番組って、探せばもっと突っ込みどころはあるでしょう。
情報の鵜呑みはよくないってことで。
(しかしまぁ、大槻さんも相変わらずだなぁ。いろんな意味で。)

赤塚不二夫さんが亡くなられたということで、
またトキワ荘の面子がひとりいなくなってしまったのね。
ま、時代かなぁ。
彼の作品は、私はあんまり理解できなかったけど、
コミックの一分野を築いたひとりであることは確か。
とりあえず、ごゆっくりお休みを。

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