偽装請負

残業の果てに23時近くになってようやく会社を出る。
で、今の仕事のPLの人(社員)と一緒になった。
帰りが同じ方向なので、同じ電車で駄弁る。
あーいつ桃源郷は来るのかなぁ、なんて談笑しつつ、
その中で、彼が普段私について抱きつつ抑えていた疑問を
ついに投げかけてきたのでした。
「ところで…月影さんって、派遣なんですよね?」
アッ痛たたたっ!ストレートきた。
「いやいや、私はフリーランスですヨッ!」
と切り替えしておいたけど、
まぁ、実態は誰がどう見ても派遣労働者ですな。
多分そう思われているだろうなと思いつつ、
実際にその言霊を食らってしまうと、
やっぱりそうなのか、と改めて実感してしまいますわ。
もうね。フリーになってから1年も経たないうちに、
そんなことは大体分かってたんですよ。
これが個人事業主ってのは、
体良く労働者であることを隠蔽する蓑だなぁ、と。
明細見ると、いろいろ理由つけて天引きされてますよ。
(てか、個人事業主から報酬天引きって何事よ?)
2次請けがいくらピンハネしてるかわからんけど、
おそらく私の単価は今の報酬のさらに倍くらいなんだろうなと。
つまり、本来額の半分近くぶっこ抜かれてると。
大体工数見積もるときは人月100で見てるんだけど、
私自身は100も貰ってないもんね。
でもね。そうはいっても、社員の頃よりは大分マシなんです。
毎月の収入も倍以上になったし。
あのまま社員続けてても、給料倍はあり得ないから。
いつかそういう偽装請負エージェントを利用せずとも
ひとりでやっていける本物の個人事業主になりたいなぁ、
とは思ってはいるんですがね。
何分にも長いこと大企業に巻かれてた社員SE上がりなので、
伝も人脈もないし、なかなかそう簡単にはいかんのです。
ただ、いつまでこんなことは続かないからね。
このまま40歳、50歳になっても、
まだバリバリ開発できるエンジニアでいられるかといえば、
おそらく厳しい。
まだ、まだ若いといえるうちに、少し焦った方が良いね。
今なら社員に戻れる年齢ではあるけど、
大きな集団の中でお上に従って動くという生き方には
もう今さら戻れなさげ。
このまま前へ突き進むなら、自分で会社起こすしかないのか。
ときどき、収入が良いことを社員から羨ましがられますが、
社員はね、将来と生活を会社に保障されてますから。
実際その安心を会社から買ってるようなもんだと思うんです。
フリーにはそれがない。自分の面倒は自分でみるしかない。
最近は社員だからって安心ばかりもしてられない時代っぽいけど、
まぁでもフリーよりは安全圏であることは確かですよ。
私も社員だったときは、
いつも月末に「金ねぇーヨォ」なんて呻いてたんだけど、
そうして毎月給料を使いきれるというのは、
ある意味、毎月給料が確実に出ることが保証されている
社員であることの特権なのかもなぁ、などと、今にして。
今は、収入の一部は、何かあったときのために
なるべく自分の安全と生活保証用のマージンとして
別枠でプールしとかにゃならんのですよね。
なので、実際自由になるお金は、
社員時代と実質そう変わらないかも。
んー。これはやっぱり、喫茶店開店だ。
店で、新聞広げてるおっちゃんとか、
化粧直ししてるオネエちゃんとか眺めつつ
ノンビリ皿拭きてぇ。

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