裏切りの数論


 ここに4枚のカードがある。
 そのうち、2枚は赤、2枚は黒のカード。
 これをよく切って裏返して並べる。
 そのうち2枚を同時にめくる。
 もし、そのカードが同じ色であれば、ディーラーの勝ち。
 もし、そのカードが違う色であれば、あなたの勝ち。
 (負けた方は100ドル支払う。)

こんなカケを申し出られたとき、のるべきか、拒むべきか。
とにかく考えるべきは、
果たしてこのカケは公平なものであるかどうか、です。
直感的に、白黒が半分ずつなので、
確率は2分の1じゃないか?
と考えそうですが、実は違う。
これ、ちょっと考えれば、
どちらが有利なものか簡単に分かります。
実は、2枚を同時にめくる、ということは、
1枚ずつ連続して2枚めくる、というのと同じことです。
まず1枚目をめくるとき、
それが赤か黒かの確率は2分の1です。
これはどちらでも良い。
ここでカケの対象になっているのは、
続けてめくられる2枚目のカードの色です。
残るは3枚。
ところで、既にめくられた色のカードは、
その3枚の中に1枚しかない状態になっています。
つまり、続けて2枚目も同じ色である確率は3分の1。
ということは、
2枚が違う色である確率は3分の2ということになる!
このカケは、平等どころか「あなた」に有利なものなので、
のる方が良いかもしれない、ということになりましょう。
(ただし、あくまでカケだから勝てるかどうかは運次第。)
ところで、同じような問題として、
次のようなカケを申し込まれたらどうか。

 あなたは友人とサッカーの試合を観戦している。
 フィールドには11対11と審判あわせて23人がいる。
 そのとき、友人はこんなカケを申し込んできた。

 「 あの23人のうち誰か2人(1組)、
  誕生日が同じやつがいたらお前の勝ち、
  いなければオレの勝ちだ。
  これで晩飯をカケようぜ。 」

あなたはこのカケにのるべきか、拒むべきか。


人は23人。
これに対し、誕生日として考えられるのは365日ある。
どうみても不利なカケにみえます。
これも上のカードと同様に考えてみる。
23人の中から任意の2人を選ぶということは、
まずひとり選んで、残り22人の中に、
最初に選んだ人と同じ誕生日の人がいるか?
と考える。
で、今回はこれで終わりではない。
この最初の試みがハズれたとしても、
その22人からまた1人選んで、
その1人と、残り21人とで組み合わせをつくる。
これがハズれても、
さらに21人から1人選んで、残り20人と……
という具合にやっていくと、
あなたは253回も組み合わせをつくってみるチャンスがある!
ということになるのですな。
これが全部ハズれる確率は結構低そう。
これだけ数当ててみれば、253回中1回は当たりそう?
と思えてくる。
これ、実際その通りなのです。
23人の中に誕生日が同じ2人がいるという確率は、
実は50%を超えます。
つまり、このカケも「あなた」に有利なものだといえます。
そして、この人数が増えれば増えるほど、
当たる確立は飛躍的に上がるということは、
もう直感で分かりますね。
こうして、いつも理論的に考えられれば、
多分負け組にならなくて済むんだろうなぁとは思うんですが、
直感的に勝てなさそうだと思う方向へ進むことはないので、
いろんな場面でよく負けるわけですが(私の場合)。
というか、賭けに出ないというか。
実際、こうして直感が誤ることがあるのはナゼなのかね。
人間は本性としてそもそも誤るようにできているのか、
単にもっとちゃんと考えて行動しろってことなのか。。。
(よーく考えようー。お金は大事だよー。。)

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