私はあまり人に本を薦めたりすることはないのですが。
最近のあまりの無節操な社会や政治について、
私のいいたい事がほぼ書かれている本がありますので、
この機会にお勧めしておきたいのです。
一見、宇宙とか生命とかに関する本かな、
と思わせるタイトルだけど、
実際は、カール・セーガン氏の現代社会に対する考え方、
或いは、忠告や警告のような内容になってます。
セーガン氏は、実際科学者でもあったので、
そういう観点からの鋭い指摘が多いし、
私自身、彼の意見のほとんどに同感です。
その中で、最近日本で議論すべきだ何だといっている核武装について、
(というより、軍拡について、かな)全否定してる部分があるので、
以下に抜粋(引用)して紹介しておきます。
— ここから—
現在アメリカとソ連(現ロシア)は、地球に6万発近い核兵器を仕掛けてしまいました。なんと6万発です!この戦略兵器の備蓄量のほんの一部を使うだけで、いがみあっている2つの超大国を全滅させてしまうのは明らかです。それだけに留まらず、地球全体の文明を破壊するでしょうし、人類を滅亡へ追い込むかもしれません。いかなる国も、いかなる人間もそんな力を持つべきではありません。我々の地球は壊れやすいのに、これらの終末兵器をいたるところにばら撒いておいて、これで安全が確保できるといって正当化しているのです。ばかなことをしたものです。
(中略)
1964年に冷戦が始まってから1989年に終わるまでに、アメリカは10兆ドル(1989年のドル換算にして)をかなり上回る額をソ連との全面対決に費やしました。この合計額のうち、3分の1以上がレーガン政権によって費やされ、国債の発行量を増大させました。その額たるやそれ以前の政権の国債発行額をジョージ・ワシントンまで遡って全て足し合わせたものよりも大きなものでした。冷戦の初期には、どの点からみても我が国(合衆国)にはいかなる外国の軍隊も手が出ませんでした。しかし現在は、今まで莫大な国費を支出してきたにも関わらず(また、冷戦が終わったにも関わらず)、アメリカは事実上瞬時に全滅させられるもろさがあるのです。
資本金をこんなに無鉄砲に使い、しかもほとんど効果を上げられなかったら、企業はとっくに破産しているでしょう。
(中略)
アメリカはその金額で他に何が出来たでしょう(もちろん良識ある防衛は必要ですから全額でなくていいのです、まあ、半額としましょう)。5兆ドルを少し超える額を上手に使えば、飢え、ホームレス、感染症、非識字、無知、貧困をなくし、環境の保護手段を講じることに大きな進歩がもたらされたでしょう。それもアメリカ国内だけでなく、世界中に。地球を農業的に自給自足にし、暴力や戦争の原因の多くを取り除く手助けが出来たでしょう。そしてこれはアメリカの経済に莫大な利益をもたらすことにもなったでしょう。国債をかなり軽減することができたでしょう。その金額の1パーセント以下で、有人火星探検の長期国際計画を発足させられたでしょう。その金額のわずかな部分で、芸術、建築、医学、科学の分野で創意に富む天才を何十年にも渡って支援することができたでしょう。科学技術と企業家の成功の見込みは桁外れに大きくなっていたでしょう。
戦争の準備や装備のために、こんなに多くの富を費やして、はたして賢明だったでしょうか?
— ここまで —
ちょっと長いか。
でも、上の文章のどれかを削ってしまうと、
ここで伝えたいことが弱くなるので、
あえて多めに引用してみました。
(本当はもっといろいろ書いてある。中略のところにも。)
ところで、
軍事目的の研究開発によってうけた恩恵がゼロかといえば、
実はそうでもない、ということは認めます。
例えば、今私たちが使ってるインターネットは、
もともと軍事目的で開発された分散処理ネットワークの技術ですね。
しかし、そんな研究は軍事目的でなくてもできたわけで、
遅かれ早かれ似た技術は生まれていたはずです。
それよりも、上に書かれてるような莫大な軍事費を、
何か他のことに使う恩恵の方がずっと大きかったでしょう。
この本は、
セーガン氏が他界する直前(1996年)に書き終えられたものです。
でも、それから10年経った今も、状況は全く変わってません。
残念なことに。
アメリカだけではなく、多くの国が、相変わらず莫大な軍事費を計上し、
世界に核は減るどころか増える一方という状態。
国の指導者(とその取り巻き)というのは、本当に頭が悪いのか、
それとも、指導者の立場に立った途端、変な病気にでもかかるのか、
地球侵略を企むエイリアンによって洗脳でもされてるのか、
そんな錯覚でもせずにはおれない、みたいな。
いっぺん滅んでみるまでわからないのかな。
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