昔、私が入社して2、3年くらいのときに、
新規要素開発ということで、
何か儲けにつながる面白い案はないか?
という話を会社から持ち出されたことがありました。
で、私が当時思ったのが、
どこでもインターネットにつながるような環境がつくれないか、
ということ。
当時はモバイル端末が流行りだした頃だったので、
大体ユビキタスというとそういう発想になるのだけど、
無線よりもっと世の中に普及しているインフラは何かと考えたとき、
電力線とか水道管とか、そういうものを思いついたのですな。
例えば、もし送電線でインターネットにつなげたら、
おそらく日本中どこでもインターネットにつなげるわけです。
電気が通ってないところなんて、ほぼないから。
つまり、コンセントさえあれば、
そこからインターネットに接続できれば便利だという発想。
これがなんと、近々実用化されそうな雰囲気なので、
昔そういうことを思いついた私としては驚き桃の木山椒の…なわけですよ。
というか、まぁそもそも、
こんなこと考えるのは私だけじゃないでしょうよ。
今実用化されるということは、
私なんかよりずっと前からそういうことを考えていた人がいて、
その技術についてずっと研究を続けていたのだろうと思います。
この技術は「PLC」といいます。
Power Line Communications の略。
PLCでググれば、いっぱい記事が出てきますね。
高速電力線通信といって、
技術的にはADSLとほぼ同様なものであると。
電線の用途は違えど、
結局メタリック線を使って高速通信する技術ですから、
やり方も似たり寄ったりにはなります。
ただ、この実用化にあたっては、
技術の問題よりも、電波の問題の壁の方が大きい。
送電線で通信すると、そこから漏れ出す電磁波が、
他の無線の周波数帯域を犯す可能性が高いんですな。
そりゃそうで、送電線はもともと電力を送るための線なわけで、
通信に使う高周波の信号には最適化されてないわけです。
高圧線ともなれば被覆もされてない裸線だし。
ということで、実用化されても、
しばらくは家庭内LANとして使うレベルのものになるらしい。。。
これ、一戸建てならいいけど、
アパートみたいな集合住宅の場合どうなるんだろう。
お隣さんとLANがつながったりするのかしら。
コメント
「電力線通信の解禁」とかいう報道は、屋内限定の話です。
インターネットに接続するためには、建物の中までプロバイダと
ADSLや光ファイバーで結ぶ必要があります。
このPLCは色々問題があるまま見切り発車の感が強いです。
問題点について簡単にまとめてみました。是非ご覧ください。
PLCに対しての印象が変わるかもしれません。
http://nonomura.iza.ne.jp/blog/
医療機器への影響も懸念されていますので、厚生労働省が今後どう判断するかとか。
とにかく推進派メーカーから出てくるお花畑記事に騙されないよう、色々情報を見極めることが必要です。
欧米では撤退するメーカーも続出しています。
恐らく尻つぼみになる可能性が高く、開発に資金を投入したメーカーの株価が心配です。
問題多々なのはいろんな記事を見ていて理解できます。随分前から開発に着手して、今はその事業から手を引いている企業があるということも話として聞いていたので、やっぱり無理なんだろうなーと思ってたんですよね。
ただ、こういう発想を行動に移すこと自体は否定しなくても良いと思うのです。できるかもしれないけど、無理っぽいからやめようではなく、出来るかもしれないならやってみよう、と。それで駄目なら駄目で良いんじゃないかなと。
PLCに限らず、全然関係ない分野ですが、例えば低音核融合発電の技術なんかも、かつてドンデモのレッテルを貼られて今はほとんど研究している機関はないんですが、それでも国内にはまだその研究をしているところはある(?)ようで、もしそういう研究を今後も続けているのであれば、応援したいなぁと思うのです。