矛盾、というと、
それは存在し得ないものだ、と思い勝ちだけど、
実際、矛盾するものというのは
世の中にいっぱい存在しています。
…というか、世の中、矛盾だらけでそ?
要するに、物理的な矛盾は、
例えば、「熱いと同時に冷たい」なんちうものは
当然存在し得ないわけだけど、
概念的な矛盾というのは、
いくらでも存在できるわけです。
ウソこけばいいんです。よかないけど。
というか、「矛盾」という故事成語のエピソード自体
しっかり存在してますから。
どんな盾も突き通すことが出来る矛
どんな矛もはじくことが出来る盾 …だから矛盾
(存在、てのは「事実として」でなく「寓話として」ね)
でもね。
物理的にも存在する矛盾ってのもあるんですよ。
「人喰いワニのパラドックス」というのがあります。
こわーいワニさんが、子供を自らの口の中に置いて、
母親にこういうのです。
「 オレ様がこの子供をこれからどうするか当ててみな。
見事当たれば、この子を助けてやろう。
もし外れたら、この子を食べてしまうぞ。」
すると、母親はこう答えました。
「あなたは、その子を食べてしまうでしょう。」
その後、そのワニはどうしたでしょうか、という話。
「 ふむ。当たりだ。オレはこの子を食べようとしていた。
当たりなので、この子を助けなければいけないな…」
と、口から子供を出そうとしたところで、
「 おっと、いかん。それではハズレだったことになる。
よって、この子を食ぁーべちゃーうぞー。」
と、子供を再び口の中に入れて食べようとしたところで、
「 おっと、それではやっぱり当たりではないか。
ならば、食べられないのだな…」
まぁこれを延々繰り返して、そのワニは口をパクパクさせながら
永遠に子供を食べることができないってやつです。
これ、電動ベルやモータの原理に似てるのですよ。
槌とベルが離れると引き合って接触し、
接触して通電すると槌はベルから離れる、というのを繰り返す…。
ここで、ひとつ思うことがあるんですが。
実は、世の中、森羅万象全て、そうなんじゃね?
みたいな。
何か目指すべき目標がある。
それを達成しようとすると、その直前になって、
今度はその逆方向を目指す…。
あっちいったり、こっちきたり。
みんなが思っている新しいこととか、
これから目指すべきところってのは、
もしかすると、ずっと古い古い古過ぎて、
逆に新鮮にみえているもの、なのかもしれません。
極端な話、例えば、紀元前などの話って、
私たちにとっちゃ全く未知の世界ですから。
時系列的な話だけじゃなく、
原理的に、本質のどこかに矛盾という要素を含んでいる。
それが、この世界というものではないか。
真理は(潜在的に)そもそも矛盾していて、
それゆえに、本当は単純なものが、
すんごく複雑に見えているのかもしれないなぁ、
…なんて思うのです。