夜のニュースで、地方病院は大変だという特集をしていました。
まあ医者不足ですね。何でも、お医者さんは都市の病院がお好きらしく、なかなか地方へは行きたがらないとか。医大生のインタビューを聞いてみれば、地方にいくと自分のプライベートが充実しなくなるとか、地方の医者は将来が見えているとか、都市の方が環境も良く将来性もあると。
そこで行政がこれを何とかすべきだ、という話になるんだけど、これって行政よりももっと大事なものが抜け落ちてる議論のような気が。
医師というのは、やはりひとつの職業であり、生きていくための仕事ではあるのだけど、その人が医師を目指す動機は何だろうかと。病気の人を治療することか。稼ぎが良いから医師になったのか。
あと、最近思うのは、人の命に対する医師の責任というのが、医療技術が進むにつれてどんどん重くなっていってるなと。
医者は患者の病気を治すのが仕事なんだけど、医療技術が進むと治療できる病気が増えて、かつては難病だった病気からも回復する患者が増えてくる。それ自体は良いことなんだけど、そうして治療実績が増えていくと、もし治らなかったり死んだりすると、その医者が悪かったとか、医療事故が疑われたりもする。
近年の日本では(日本に限らないかな)人が死ぬのは、多くの場合病院のベッドの上というのが現実。人が病気になって死ぬというのは、昔はそれは仕方のないことで、運命のようなものだと受け入れられてきた。人は生きている以上、いつかは死ぬ。生き物である人が死ぬというのは、医療が発展途上だった昔は自然現象だったのだけど、病院で人が死ぬと、とりあえず医者のせいということになる。診療が誤っていたのではないか、治療方法が間違っていたのではないかという話になったりもする。
あきらかな医療ミス(薬剤投与ミス、患者の取り違え)もあるけど、そもそも人は誤る生き物だということを考えれば、それらもあり得る話だし、理解できなくはない。それがわざとでない限りね。医療ミスが起こる原因も大体その現場の環境に問題があったりして、ミスそのものよりも、そちらの背景の方が問題だったりする。
およそ、医療現場というのは過酷だと聞く。実際は、病院の大小や、都市と地方の格差なんかの問題もあって、特に地方の病院は医者不足で酷いと。医療関係者が非難されることが多い昨今ですが、社会において確実に医者は必要だし、その仕事は偉大であるという認識はみんなデフォルトで持つべきだと思うんですよね。