Winnyの話。
何でも、本人のサイトだけでなく、関連サイトにまで捜査が入ったそうです。以前も書いたけど、問題は、作者が刀を作っていたのか包丁を作っていたのか。刀は人を斬る為につくられたもの。包丁は料理をする為につくられたもの。
Winnyというのは、P2Pでファイル交換をするソフトであって、そのアーキティクチャ自体は非常に有用である。クライアント to クライアントでサーバが要らない仕組みなのね。つまり、サーバ負荷とか、バックアップとか、セキュリティとか、サーバ保守に関する一切の問題を考える必要がない。
今こうしてみんな使ってるインターネットだって、そのの発祥はARPANET(アーパネット)という軍事ネットワーク。軍事目的に開発されたその技術が、いまや世界中でなくてはならないツールになっている。これに限らず軍用技術の一般向け転用の例は多い。また、その逆もある。
刀の切れ味や使い勝手を良くするその技術は、同時に包丁にも応用できるということなんです。
仮に、Winnyが刀であったとしても、その技術は包丁としても使えると。Winnyの技術を責めるなら、今後このアーキティクチャを使った同様のソフトが出ても、それも摘発しないといけないってことになりませんかと。
著作権の問題は確かに深刻。警察も、そういう要請があったから動いているのであって。この落とし所として、作者の逮捕になったと。でも、そうじゃないんじゃないのという批判が続々と出てます。
完全匿名性がマズかったという指摘もある。誰がそれを公開していて、誰がそれをダウンロードしたのかがわかるようなつくりにしないとダメだった。ソフトつくるなら、そういうつくりにしなさいと。でも、そんな決まり今どこにもないですからね。確かに、犯罪を助長するような仕様だったかもしれないけど、それが実際に犯罪につながったというのは結果論であって、特に制限がないならどうしても利便性を上げる方向の仕組みになる。匿名の方が公開もしやすいし、ダウンロードもしやすいしね。それが犯罪につながると判断して規制するのは、作者の義務ではない。法整備は国や地方の議会の仕事です。
結局、基本的に人は不正を働く生き物で、何も規制がない新しい領域というのは、どうしても新しい犯罪の発祥地になってしまうのよね。だから、新しい技術や仕組みが出たら、それが普及する前に先手先手で規制をかけていく必要がある。ただ、あまりそれが強すぎると利便性が損なわれるので、実用になるレベルでバランスを取る必要もある。理想論ですがね。