そこにいるの?

今日、銀行のATMコーナーでお金を引き出していると、隣に子連れの母と思しき人がきた。母親は子供に「そこにいなさい」といってATMで作業をし始める。よくある光景。
と、
「ねぇ、ねぇ、そこにいるの?」
と叫ぶ子供。他に兄弟か友達でもいるのかと思って振り返ってみたが、そこには誰もいない。子供は何もない空中に向かってしきりに「そこにいるんでしょ、ねぇ」と連呼するのである。
何も、ないよな…
母親は黙々とボタン操作をピコピコやっている。子供の様子が気にならないのか。普段もああいう挙動をする子なんだろうか。すげえ気になる。
「ねぇ、そこにいるんでしょ」
何かの漫画か物語の真似でもしているのかな?それとも、その子は本当にそこに何かを見ているのか。いや「そこにいるんでしょ」といっているということは、見えてはいないが、気配を感じ取っている、ということか。子供には、大人には見えない何かを見ているというが、ひょっとしてその子も、そういう何かを見ているのかも。トトロか真っ黒クロスケでもいるのかしら。
実際、大人の脳というのは、物理的に光学的に見えるはずのものさえフィルタされて見えなくなるという話もある。つまり、合理性の面で、何かを行動する上で、または生きる上で必要のない情報は、感覚器では捉えているにもかかわらず、脳の意識の層に入る前に自動的に(無意識に)カットされてしまうということ。
もしかすると、私も、あのくらいの子供の頃は、いろいろ得体の知れないものを見ていたのかもしれない。でも、それが何であるかを判断できない為に事象として、経験として記憶には残らず、結局、要不要の原理で、脳のフィルタが出来上がってしまい、そうなると、そういう事象自体がなかったことになる。
うん。あそこには、私には見えない何かいたに違いない。

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