21日の昼下がり、佐渡島が沸き立った。一羽の鳥が誕生したのだが、この鳥というのが、タダの鳥ではない。今や純国内産はたった一羽となってしまった、国の特別天然記念物である「トキ」である。今回ふ化したのは、お隣中国から、今年一月に寄贈された二羽のつがい「友友(ヨウヨウ)」と「洋洋(ヤンヤン)」の間に産まれた卵であるが、国内では初となるトキの人工ふ化の成功とあり、地元、マスコミぐるみで大いに歓喜した。
絶滅といえば、最近、絶滅が懸念される生き物のレッドリストに、あの「メダカ」もエントリーしていると聞いたときは、さすがに驚いた。私は、田んぼに囲まれた田舎で育っているので、メダカといえば、川を網でさらったら、真っ先に数十匹はかかる雑魚というイメージがある。そのメダカが、絶滅の危機とは!?
確かに、私が川さらいをしていたその場所も、最近は、がらりと環境が変わっている。田んぼは潰されてサッカー場になり、見渡せば土と緑だった実家の周囲も、今は区画整備が行われて、キレイな道路がはしっている。なるほど、メダカも住む場所がなくなるわけだ。
人間が住みやすくなるのはいいが、その脇で、住む場所を追いやられている生き物たちの心境とはどんなものか。今回のトキのように、一羽二羽になったところで、ようやく保護の声が高くなるというのは、実にいたたまれない。それとも、開発、繁栄の影に絶滅があるのは、必然なのだろうか‥‥。