鳩山政権 1ヶ月

マスコミ各社の世論調査でも、いまだに60～70%という
高水準の支持率を維持している民主党新政権、鳩山内閣。
不支持派な私はマイノリティなんですか。
てか、あの政権の一体どこが良いと思ってるのかなぁ。
以下、私が今の民主党（と連立与党？）が支持できない
という話をダラダラと列挙しますので、
もし頭から民主支持だという方は、精神衛生上この先は
読まない方がよろしいでしょう。
念のため、久々に折り込んでおきます。

○補正予算凍結3兆円
2.9兆円まで執行停止に持ってきたということで、
3兆円には届かなかったものの、相当頑張ったでしょう。
ただ、それによる副作用というか弊害は大きい。
公共事業は全て悪であるかのように
ダムやら道路やら、土木関連の事業がことごとく凍結。
確かに必要のない事業もあったろうとは思うんだけど、
これだけ一気に止められると、仕事を失った事業者の
行き場がなくなってしまうのは明らかでしょう。
あと、工事を途中で止めた場合の後始末に必要な予算は
ちゃんと考えられているのか。
建築物をバラして現状回復するのもタダじゃないし、
地元民への保証も当然要求されてくるでしょう。
○本当に停止して良い予算だったのか？
どうも3兆円という目標だけが一人歩きして、
何が何でもそこは死守という方向で動いてたんだけど。
だからといって、雇用、医療福祉、あと農業への支援
といったあたりで緊急的に組まれ、既に運用の準備も
進んでいた予算を、今この場で止めて良いんですか。
直近のやつでいうと「子育て応援特別手当」ですかね。
各自治体で準備室をつくったりパンフレットを刷ったりと
実質的な周知や運用に向けた動きが出てきている中で、
「やっぱりヤメ」ということに。
これで浮いた予算を来年度の「子ども手当て」とやらに
まわすとのことだけど、似たようなもんじゃないのか。
これどう考えても、麻生政権で決めたやつはイヤだから、
自分らで決めたものに回していこうって腹でしょう。
しかも、生活が苦しいのは不況のまさに今なのに、
来年度予算となれば、その制度が実際に実施されるのは
早くても来年4月以降ってことになる。
どうも空気読めてないんじゃないのか。
○モラトリアム？
亀井氏はまっすぐで、急進的ですね。
まぁ、鳩山さんが何をしたいんだかよくわからない、
その発言も、前にやるといってたことを、
やっぱりもうちょっと考えたい、議論が必要だみたいな
グラグラしてるのをみてると、どないやねんッ！
と突っ込みたくなる。
その点、亀井氏は、こうやるんじゃい！ということを
独りよがりながらも言い放ってるので、わかりやすいし、
むしろ清々しいオッサンかもしれない。
ただ、その理論がよろしくない。
借金返済猶予の制度ですね。
あんなことしたら、余計に中小企業や個人の資金繰りを
冷え込ませることになるだけじゃないのか。
つまり、お金借りても、しばらくは返さなくても良い
ということを、国が制度として設けようという話ですよね。
そんな制度ができた後で、
誰かに積極的に金を貸そうという金融機関がありますか。
こういう制度は、当面、多額の借金を抱えている人を
助ける効果はあるかもしれないけど、将来的な産業の成長
ということが考慮されていないという気がする。
○温室効果ガス25%削減
期限は2020年まで。あと10年。
1990年比25%減というのを全て自力で実現するには、
自動車はほぼ100%エコカーに変わってなきゃならない。
家電もほぼ100%エコ対策されたものにしなきゃならない。
電源確保も、火力発電はほぼ全廃の勢いが必要。
夜間の街の照明などインフラにかかる電力も大幅カット。
企業の生産活動も、排出制限がかかると減産は確実。
もう仕事しないで寝てろって話ですね。
まぁ、そんなのおそらく無理だから、その排出枠
半分以上はよその国から買い取るということになりましょう。
それに必要な予算もバカにならんですよ。
忘れちゃならないのは、その買取の為のお金を払うのは
他ならない日本国民だということ。（税金という形でね）
○なのに、高速道路無料化
エコ政策を打ち出したかと思えば、
みなさん、どんどん高速道路を利用してください、と。
意味わかりません。
どうも、国民視点という言葉の意味を履き違えてる。
高速道路を無料化すれば、それを利用する人は喜ぶのだ
という安直な思考回路だから、あの政策とこの政策が
どうも噛み合わないぞ、ということになるんですよ。
高速道路無料化は、あからさまに選挙対策でしょ。
で、やる！といってしまった以上は
とりあえずやらないと、公約違反ということになる。
だから、仕方なしにやる感じよね。
軽口叩いたツケが、政権取った今まわってきてるわけで、
これで内外から非難を浴びるのは必至でしょう。
○国家戦略室って？
ドンドンジャカジャカと鳴り物入りで
これも勢いで設立された感のある国家戦略室。
これの役割がどうもよくわからん。
官僚でなく、政治主導で政治を決めていくんだ！
みたいなコンセプトだったと思うんだけど、
ひとつ重要なことを忘れているよ。
本当に、政治家は、官僚よりも信頼できるの？
そこが崩れると、むしろエリート頭脳集団である
官僚の主導でコトを進めた方がいいんじゃないのか
という話にもなってくる。
シロウトの政治家が寄り集まってあーだこーだと
議論して、どうも煮え切らない政策しか出てこない
ということでは困ります。
てか、菅さん、仕事してる？
○官僚はマスコミの前に出るな？
あくまで政治主導なんだ、ということですか。
でも、これは単純に内部情報を隠してるとしか思えない。
というか、この政権になってもう1ヶ月だけど、
政治関連の人のメディアへの露出度が激減してないか？
実際、首相のぶら下がり取材も、
自民党のときは毎日1日2回と決められてたけど、
今は1日1回に減ってるしね。
この時期はあまり発言しない方がいいってコトですか。
まぁ、喋る機会が多ければ多いほど
失言が飛び出す確率も上がっていくわけですけどね。
でも、自分たちのやってる仕事内容を説明をするのが
政治家の仕事でもあるんだから、しっかり人前に出て
今何をやっているのかくらい話して欲しいもんです。
○説明が無い！
政権公約に謳ったことを実現させるべく、矢継ぎ早に
ダム工事中止とか、補正予算凍結とかいろいろやってるけど、
いずれも、当事者に何の説明もなしに突然決定！なのよね。
とにかく、マニフェストに書いてたんだからやるしかない、
ということでやってるようにしかみえない。
ムダ排除は結構ですが、何か大きなことをやる場合は
それによる負の効果が出る人が出てくるのは当然なんだから、
それをやる理由、効果と弊害、あと保証なんかの切実な話は
まずその当事者にじっくり説明しなきゃならんでしょう。
そこは、政治家として最低限の仕事だと思うんだけどね。
それがないと、専制政治、独裁ですよ？
○概算要求95兆380億円
これは過去最大とのこと。
もうね。アホかと。
ムダを削れば、マニフェスト実現に必要な予算なんか
余裕で都合することができるんだ、みたいな話だったよね。
ちなみに、これには事項要求という金額が明記されてない
ものもあって、それらが必要ということで確定してくると
今後さらに予算が膨らむとみられている。
さらに、これは本予算なんだけど、来年度中に
さらに何らかの必要に迫られて追加の予算が補正で組まれる
という可能性も否定できない。
加えて、税収はこの不況で大きく凹むと予想されていて、
そうなると、来年度増税か、国債発行かということに。
まぁ、おそらく両方くる。
てかね、こんだけ予算が膨れ上がるのは目に見えてたでしょう。
なのに何で民主党が勝っちゃうかなぁ。。
非常に困るんです。
私なんか変動金利でローン組んでるもんだから、
そこで国債がバンバン発行されると長期金利も跳ね上がって、
返済額にモロ響いてくるんですよ。
金利上昇も避けられない上に増税なんて、
もう泣くしかないですよ。
○揺れる発言
上でも書いたけど、鳩山さんの発言はどうもグダッてる。
役人の会見は禁止、といってみたら、役人が沈黙してしまい、
やっぱり必要な会見ならやってもいい、とかいい出す。
沖縄の基地問題とかも、県外移設すべきなんだと散々前政権を
非難してきたのに、ここにきて、やっぱり県内でも仕方ないか、
みたいなことになってきてる。
赤字国債も、自民党が国債ばっかり発行して借金漬けにした
みたいなことをあれだけ言ってきたのに、現実が見えてくると
国債も考える必要もあるかも、みたいなことになってきてる。
いや、そうなるだろうと思ってたんだけど、それって
自分たちが野党だからといって、発言が無責任、理不尽過ぎた
ってことですからね。
そんなあなたも今は政権与党です。
じゃ、キミらでそれ解決してみせろや？ってこと。
いつまでも、友愛とかアジア共同体とか理想ばかりじゃなく、
現実をみて、しっかり状況を把握して舵取りしていかないと
遠からず座礁しますよってことです。
○いろいろ後回し
例えば、北朝鮮に対する貨物検査特別措置法案。
あれは、北朝鮮が核実験をしたりミサイルを発射したりで、
国連でもせっかく日本主導で議長声明まで引き出したのに、
その日本が北に対する制裁となるはずだった貨物検査法案が
民主党のおかげで、前の国会で廃案にされてしまってる。
これは、同様の法案を民主党側で提出するとのことだけど、
それが来年度となれば、北朝鮮も最近はやや対話路線に
傾向してきていて、それで来年あのときの制裁？という
いささか時期を逸した感が漂い始めてる。
あと、新型インフルエンザの対策も、前政権での対策が
途中で保留されてしまって、完全に対応が遅れている。
雇用対策も、支援にあてる予定だった予算が凍結されたので、
民主党が同様の政策や法案を実施するにしろ、当事者が
その支援を受けられるのは来年度以降ということに。
要は、今まさにやるべきことが、
ヘタな政治家の都合とかプライドとかのおかげさまで
先延ばしになってるってこと。
そもそも、先の補正予算はこの不況下の国民生活を救済する
緊急措置的予算だったはずで、基本的には必要なものだったはず。
ここにきていろいろ醜態をさらてしまった自民党だって、
まるっきりボンクラってわけじゃない。
腐っても50年以上政権を担当してきた党の政治政策です。
現に民主党は、もっと削って来年度予算に回すつもりだったのが、
予想以上に削れなかったのは、やっぱり必要だったからでしょ。
でも、まず手をつけられるのはそこからしかなかったわけで、
無理やり削ってるわけです。
自民のやつはやめて、とにかく民主色に染めようという
そのこだわりだけでは、本当に必要な政策なんか見えません。
○無駄なのは連立
あと、連立する必要もない社民とか国民新党とかの主張に
政権が振り回されてる感も否定できない。
特に、社民党と民主党は意見が対立すること多々。
参院では単独過半数ではないとはいえ、
衆院だけでも民主党一党で十分やっていけるはずで、
わざわざ対立政党と連立を組むメリットは全くない。
政府内で意見がまとまらず、政治が前に進まないでは
国会で与野党として対立するのと変わりませんよ。
○公約以外の政策準備
政権公約、いわゆるマニフェストには書いてなかった、
しかし、民主党の政策集には実は書いてあるという
サブマリン的な政策というのもあるのは知ってますか。
とりあえず今見えてきてるのが、夫婦別姓制度とか、
外国人参政権とか、元慰安婦賠償法案とか、
靖国神社に代わる国立追悼施設の設立とか、
国歌国旗法見直しとか、教員免許更新制度の廃止とか
（あれ、これ公約にあったっけ）
まぁ、いわゆるリベラルな政策の数々。
別にそんなのどうでもいいよ、って人も多いかもだけど
もしこれらの政策が選挙時のマニフェストに入ってたら、
それに反対する人も少なくないので、確実に支持を下げる。
つまり、選挙では隠しておいて
（いや、隠してはないけど、積極的に訴えてもこなかった）
政権をとったら、ここぞとばかりに実行する、という
そのやり方が、どうも気に食わないわけですよ。
その点、例えば消費税の増税を明確にしてた麻生さんが
いかに潔かったか。
選挙戦略としては、民主党が勝ったのかもしれないけど、
政治家として、人間として、どちらか信頼に足るだろうか
ということを、一度考えてみても良いと思いますね。
ちなみに、上記政策を実施するにも、当然予算が必要です。
わかりやすいところでは、元慰安婦に賠償金を支払うには
当然、相応の国庫からの支出ということになるわけで、
それはイコール税金、つまり、私たちが支払うんです。
私が民主党を好きになれないのは、よその文句ばかりいって
自分たちはシラジラと清潔であるかのように振舞っている
その態度ゆえなんですよね。
何とかいう大物さんの秘書が検察に逮捕されたときなんか
そのときの党幹事長（現首相）の第一声コメントが
「これは国策捜査ではないか」ですから。
さてこの政権、今後4年でちゃんと大人に成長してくれるか、
それとも、いつまでも正義の味方気取りの子供のままか。
ひとつだけ、この党で良いと思えるのは、
役所や地方との癒着が自民に比べたら少ないはずなので、
そのへんの利権絡みの金の流れが少なくなるだろう
ってことくらいですかね。